SiC・パワー半導体|決算資料で語った企業リストと注目の1社
半導体不足時代を経て、電動化やデータセンター向け電源効率化のニーズを背景に、SiC(炭化ケイ素)を含むパワー半導体は多くの企業の決算説明資料で取り上げられるテーマとなっています。総合電機から半導体製造装置、商社、建機、電線まで、業種を横断してこのテーマへの言及が広がっている点が今回の特徴です。今回は決算テーマスコープが定点観測した6銘柄の言及内容を整理し、代表銘柄としてルネサス(6723)の直近決算説明資料を読み込みました。
言及企業リスト
事業の柱として説明している企業
三菱電機(6503):セミコンダクター・デバイス部門が1H売上1,406億円を計上しており、その中核をパワー半導体が占めると説明しています。
ルネサス(6723):製品別売上構成において「Power(パワー製品)」が全体の20%超を占め、MCU・Analog・SoCと並ぶ主要事業に位置づけられています。
具体的な数値・計画に触れている企業
ディスコ(6146):ダイサ(切削装置)の用途別出荷動向として、その他半導体(主にパワー半導体向け)がQoQ・YoYともに増加したと明記しています。
住友電気工業(5802):情報通信セグメントで、基地局用GaN(窒化ガリウム)デバイスの拡販・開発方針に言及しています。
言及している企業
三井物産(8031):新規投資先として半導体関連装置メーカーの子会社化に言及しています。
コマツ(6301):産業機械他部門で半導体産業向け販売(プレス機・レーザー加工機等)に触れていますが、SiC等の個別技術への言及はありません。
注目の1社: ルネサス(6723)
ルネサスの「2Q 2026 PRESENTATION」(2026年7月31日開示)を確認すると、パワー半導体は同社の事業ポートフォリオにおいて明確な位置づけを与えられています。会社概要を示す「RENESAS AT A GLANCE」のスライドでは、製品別の売上構成比としてMCUが40%、Power(パワー製品)とAnalogがそれぞれ「20%+」、SoCが「15%-」、その他が5%という内訳が示されており、パワー製品がMCUに次ぐ主要な収益の柱であることがわかります。
また、今回の資料では高崎工場の生産終息(6インチウエハーラインの構造変化に伴う撤退)についても説明があり、その中でR&D機能の今後の重点分野として「Focus on growth areas: analog ICs and power semiconductors for data center and automotive applications」と明記されています。データセンターや自動車向けのパワー半導体を成長領域として位置づけ、生産拠点の再編後もR&D機能をこの分野に集中させる方針が示されています。
なお、SiCサプライヤーのWolfspeed社との関係については、財務面での言及が目立ちました。資料では「In 2Q25, a valuation loss of ¥235.0 billion was recorded on the deposit to Wolfspeed」との注記があり、2025年2QにWolfspeedへの預け金について2,350億円の評価損を計上したことが示されています。SiCサプライチェーンへの関与が財務インパクトとして表れた事例といえます。
編集後記
パワー半導体というテーマは、完成品メーカーの主力事業から、製造装置・商社・建機まで幅広い業種の決算資料に顔を出すことが今回のリストからも確認できます。一方でルネサスのように、成長領域として位置づける記述と、サプライヤー関連の財務リスクが併存するケースもあり、単純な追い風テーマとしてだけでなく多面的に捉える必要がありそうです。今後も四半期ごとの言及内容の変化を継続的に観測していきます。
全銘柄×テーマの判定データは 決算テーマスコープ( https://www.kessan-scope.com )で検索できます。
※本記事は上場企業が公表した決算説明資料の記載を整理したものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
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